悪牛仙人

行者に危害を与えるべからず。

ある研究者がチベットで聞き込んだところによると、あとちょいで悟りを開けるはずだった行者のところに盗賊が来て、あと少しで成道できるから乱暴はやめよというのに聞き入れずに首をはねて殺してしまったところ、行者の恨みはすさまじく、水牛の頭を胴体につけて怒りに怒って盗賊たちを皆殺しにし、さらに近隣の村々に祟りまくったため、ヤマーンタカに成敗されたと云々。これは日本でいうところの大威徳明王である。いずれにしても、大人しくしている人に危害を加えると、後の祟りが恐ろしく、仏の手を煩わせるという戒めである。